Vol.2 自然を保護する場所「自然共生サイト」とは?【ニッキン転載記事】

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投資や金融にも求められるSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)の観点。連載「いきものコミュニケーション」の第2回は生物多様性で重要なキーワード「自然共生サイト」について紹介する。

本記事は、ニッキンONLINE PREMIUMで連載中の記事の転載です。
※媒体社の許諾のうえ転載しております。



自然共生サイトって何?

自然共生サイトという言葉を聞いたことがあるでしょうか。この言葉を検索すると、たとえば以下のようなニュースが見つかります。

しずおかフィナンシャルグループの保有する「しずぎんの森」や山梨中央銀行の「山梨中銀触れ合いの里山」が自然共生サイトに認定
https://www.shizuoka-fg.co.jp/news-release/20250916_Pap/250916_NR1.pdf

三井不動産の東京ミッドタウン六本木が自然共生サイトに認定
https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2025/0929/download/20250929.pdf

自然と聞くと、どこまでも広がる森のようなイメージを持ちがちですが、このニュースを見るかぎりでは、里山・森・企業が所有する施設など、どうやらそれに限らない場所が認定されているようです。今回は、そんな「自然共生サイト」について紹介します。



生物保護に最も重要な要素「場所」

生物を保護する上で大事なことは、生物が生息できる場所を確保することです。食事や休息、繁殖などを行う場所がなければ生物保護は始まりません。

そのため、世界中の政府は様々な場所を保護地域に指定し、生態系を保護して人の立ち入りを制限するような場所を設けています。日本では国立・国定公園や自然公園、鳥獣保護区などの制度を利用して北海道から沖縄まで全国の場所を指定し保護しています[1]。

こうした保護地域は、絶滅危惧種や希少種が生息し繁殖できる場所となっていたり、生態の研究フィールドになっていたりと、生物保護に重要な場所になっています。



保護地域の限界とOECM

しかし、こうした保護地域だけでは生物多様性の保護には足りません。文献 [2] によるとこうした保護地域は配置が偏っており、本当は保護すべき場所が守られていないことが多いというのです。

さらに、国の保護地域だけでは、自然があるエリア同士が遠すぎて、鳥などの動物が行き交う「生態系ネットワーク」が作られず、孤立してしまいます。

そこで、「保護地域ではないが生物多様性を保全する効果を持つ場所」を意味する OECM (Other Effective area-based Conservation Measures) という概念が生まれました。OECM はいわゆる自然環境に限らず、里山や企業林などの人の手が多く入っている場所など生物多様性の保全に効果があるなら幅広く含んでいます。OECM というアイデア自体は2010年ごろから議論がされているようですが、国際的な定義は2018年の生物多様性条約COP14で正式に採択されました[3]。

この OECM の日本版が「自然共生サイト」なのです。



自然共生サイト

環境省はこうした「自然共生サイト」を認定する事業を行っており、すでに認定された場所は環境省のページから検索することができます。
https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/kyousei/

どのような場所が自然共生サイトであるかは上記のページに詳しく書いていますが、文献 [4] にもわかりやすくまとめられています。概ね以下のような条件があります。


区域が明確である

所有者や管理者が決まっている

生物多様性が保たれており、今後も長期的に保全される

どのように管理しているかが明確で継続的に実行されている

モニタリングなどを通して保全状況が確認できる


特に生物がどれぐらい生息しているかを調べる「生物モニタリング」は重要です。この方法には、例えば専門家が目視で調べる方法や、カメラを使って画像で調べる方法、マイクを使って鳴き声で調べる方法があります。筆者はマイクを使った方法を開発しており、KoeTurri (コエチュリー)という名前でリリースしています。

自然共生サイトは、その土地の保有者だけでなく、管理やモニタリングなど支援する企業や団体も認定する仕組みになっています。そうした支援を行った企業や団体は支援証明書を受け取ることができ、2025年4月には北洋銀行が金融機関で最初の支援証明書を取得しました。
https://www.hokuyobank.co.jp/newsrelease/pdf/20250403_075564.pdf



生物多様性「見える化」マップ

環境省は、こうした自然共生サイトを含む保護区などの情報を地図上で検索できる地図を公開しています。
https://biodiversitymap.env.go.jp/portal/apps/experiencebuilder/experience/?id=169ea90aa9a643a7b406fd9a57ccb441

ぜひ一度この地図を眺めて、勤め先や取引先の近くに自然共生サイトがあるか調べてみてはいかがでしょうか。



参考文献
  • [2] J. E. M. Watson et al. “The performance and potential of protected areas”, Nature 515, pp. 67-73, 2014.

ニッキンONLINE PREMIUM 2025年11月30日掲載 (リンク)



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この記事を書いたメンバー

水本武志

ハイラブル株式会社代表。カエルの合唱や人のコミュニケーションの研究が専門。 あらゆるコミュニケーションを調べたい。生物研究プロジェクト Project Dolittle もやってます。




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