評価・フィードバックの負担はなぜ減らないのか?AIが「発話」からスキルを可視化する

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評価とフィードバックは、人を育てるうえで欠かせない仕事です。それにもかかわらず、これほど後回しにされやすい業務もありません。

なぜ、評価・フィードバックの負担は減らないのか。そして、AIはそれをどこまで変えられるのか。この記事では、人事・研修のご担当者やマネージャーの方が向き合うことの多いこの問いを、一緒に考えてみたいと思います。

面接や研修のあとに、残る気持ち

面接やグループワークが終わったあと、こんな気持ちが残ることはないでしょうか。

  • ● 「評価とフィードバックの作成に、思った以上に時間を取られている」
  • ● 「フィードバックのやり方が人によってばらばらで、仕組みとして整っていない」
  • ● 「厳しいことを伝えるのは、正直なところ気が重い」

どれも、担当されている方の努力が足りないから起きていることではありません。原因は、もう少し構造的なところにあります。

なぜ評価・フィードバックは負担であり続けるのか

負担の正体は、大きく3つに分けられます。

1つめは、時間です。面接、グループディスカッション、研修のグループワーク、1on1。人数が増えれば、必要な時間もそのまま増えていきます。とくに複数のグループが同時に議論する研修では、少数の講師で全員の発言を追いきるのは、どうしても難しいのが実情です。結果として、フィードバックは目立った参加者に偏りやすくなります。

2つめは、属人化です。フィードバックの質が、担当する方の経験や力量に左右されてしまう。丁寧に見られる方に仕事が集中し、その方が異動すると水準が下がる。基準も手順も個人の頭のなかにあるため、組織の仕組みとしては残りません。

そうした背景から、「AIで仕組み化・自動化できないだろうか」と考える方も増えています。ただ、自動化するにはひとつ前提が必要です。評価の材料そのものが個人の記憶のなかにしかない状態では、何を仕組みに載せればいいのかも定まりません。

さらに、議論に参加しながら同時に評価もするという状況では、ご自身も議論に集中されているぶん、会話を客観的に見ることそのものが難しくなります。かといって評価者を議論の外に置いても、十分な熟練がなければ主観の影響は残ります。

<評価コメントの作成に時間を取られる人事・研修担当者のイメージ>

3つめは、心理的な負担です。厳しいことを伝えるのは、正直なところ気が重いものです。改善点を指摘したほうが本人のためになると分かっていても、口にするには気力がいります。そうして、当たり障りのないコメントに落ち着いてしまう。

これは、伝え方の巧拙の問題ではありません。言い方は分かっていても、それでも気は重い。その重さの正体は、指摘が「自分がそう感じただけ」に見えてしまうことへの不安です。根拠を示しきれない迷いがあるから、言い切れない。

つまり3つめの負担も、評価する方の力量というより、伝える材料が「自分の主観」しかないことから生まれています。

評価者研修だけでは、届きにくいこと

多くの組織が最初に取り組まれるのが、評価者研修です。評価基準のすり合わせ、フィードバックの伝え方の講習。これらはたしかに有効で、取り組む価値があります。

ただ、研修だけでは届きにくい部分もあります。「評価者の記憶と主観」という土台そのものは、研修では変えられないという点です。

どれだけ基準を共有しても、それを当てはめる材料が「議論中に自分が覚えていた印象」であれば、質は担当される方の力量に左右されたままになります。研修の直後はうまくいっても、数か月後には元に戻ってしまう。そんな経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。研修はスキルを底上げしてくれますが、仕組みそのものをつくるものではありません。

フィードバックについても同じです。「具体的に伝えましょう」と教わっても、手元に具体的な事実がなければ、具体的には書けません。

ここで少し立ち止まって考えてみたいこと

評価が難しいのは、評価する対象が「消えてしまう」からです。

論点の整理、リスクの指摘、課題の発見。こうしたスキルは、議論の場では発言を通じて発揮されます。その瞬間にはたしかに存在していたのに、会議が終わればどこにも残らない。だから記憶に頼ることになり、記憶に頼るから属人化していく。

逆に言えば、「誰がいつ何を話したか」を残せれば、評価の土台を主観から事実へ移せます。

ただ、これまでその記録を扱うことは現実的ではありませんでした。複数人が同時に話す環境で、話者ごとの発言を正確に分離することが技術的に難しかったためです。

解決の方向性「発話」を評価の証拠として扱う

ハイラブルは独自の音環境分析技術により、対面・オンラインを問わず話者ごとの発話量やその変化、やり取りの量などを見える化するサービス「Hylable Discussion」を提供し、これまでにのべ17万人以上の話し合いを分析してきました。

従来は発話量やターンテイクといった「量」の可視化が中心でしたが、2026年7月28日、ここにAIによる発話内容の解析を組み合わせた新機能「発揮スキル推定」をリリースしました(特許出願済)。会議中の各参加者の発話内容から、その人が実際に発揮したスキルを推定する機能です。

Hylable Discussion での分析が終わったあと、「発揮スキル推定」ボタンをクリックするだけで、発話内容が自動的に解析されます。

<発揮スキルの推定結果の画面例。要素ごとに5段階でスキルレベルを評価する>

この機能には、先ほどの3つの負担にそれぞれ対応する特長があります。

1. スキルごとに5段階でスコア化する(→ 時間の負担へ)
あらかじめ「期待スキル」を設定し、それに基づいて評価します。デフォルトのスキルセットとして、経済産業省が提唱する「社会人基礎力」の12要素(主体性、働きかけ力、実行力、課題発見力、計画力、創造力、発信力、傾聴力、柔軟性、状況把握力、規律性、ストレスコントロール力)を用意しており、要素ごとに5段階で評価できます。

2. レベルごとに評価基準(ルーブリック)が設定されている(→ 属人化へ)
誰が実施しても同じ基準が適用されます。評価の手順が個人の経験のなかではなく仕組みの側に置かれるため、担当者が変わったときのばらつきを抑えやすくなります。

3. スコアの「理由」を、実際の発言を引用して解説する(→ 心理的な負担へ)
この機能の要は、スコアそのものよりも、その根拠にあります。「なぜその評価になったのか」を、具体的な発言内容を引用しながら解説します。「もっと積極的に」ではなく「この場面のこの発言が、課題発見力として評価されている」と示せるので、本人の納得感にもつながりやすくなります。
先ほどの「言い切れなさ」も、ここで解けます。指摘の根拠が本人の発言そのものであれば、「自分がそう感じただけ」ではなくなります。なお、引用元の発言はそのまま確認できるので、音声認識や話者判定に誤りがないかも合わせて検証できます。

4. 自社の基準へのカスタマイズと、2人の会話への対応
社会人基礎力は汎用性が高い一方、自社の採用基準や研修の目的とは必ずしも一致しません。独自のスキルセットを設定することも可能です。また、グループディスカッションだけでなく、1on1ミーティングや個人面接といった2人の対話にも対応しています。

💡 すぐに試せる小さなヒント
本格的なツールを導入しなくても、今日からできることがあります。評価コメントを書くときに、必ず「本人の発言」を一つ引用してから書き始めるというルールを設けてみてください。

「〇〇さんは主体性がある」ではなく、「〇〇さんが『まず前提を揃えませんか』と切り出したことで、議論が整理された」。

引用できる発言が思い出せないときは、評価の材料が足りていないサインです。この一手間を挟むだけで、評価の粒度と納得度は変わってきます。そして「引用できる発言が残っているかどうか」が、評価の質を左右していることにも気づくきっかけになるはずです。

どんな場面で使えるのか

新卒採用のグループディスカッション・面接。一度に複数の候補者を評価するグループディスカッションでは、面接官ごとの評価尺度を統一することが困難です。あらかじめ定めた評価基準に基づいてスキルを可視化し、面接官の評価と組み合わせることで、より多角的な判断が可能になります。

教育現場・研修でのフィードバック。複数のグループが同時に議論する研修では、少数の講師で全員にフィードバックするのは難しくなります。全グループに担当者を割り当てるとなれば、労力もコストも大きくなってしまいます。この機能を使うことで、少ない労力で受講生一人ひとりへのフィードバックがしやすくなります。

取締役会・会議体のスキルマトリックス評価。スキルは一人ですべてを備える必要はなく、チームで補い合えるかが重要です。各メンバーの発揮スキルを比較することで、実際の議論に基づいたスキルマトリックスを作成でき、次にどのようなスキルを持つメンバーを加えるべきかを検討する手がかりが得られます。

<スコアをつけた理由を、実際の発言を引用しながら解説する画面>

活用事例 / 株式会社リバネスキャピタル
株式会社リバネスキャピタルが実施した「キャピタルブリッジコミュニケーションコース」では、受講生同士の議論の分析にこの仕組みを活用しました。

少数の講師では全員分のフィードバックが難しい研修の場で実際に使用いただき、受講生の行動変容につながりました。

この取り組みが、「発揮スキル推定」機能を実装するための最初の試みでもあります。

活用の様子はこちら >

「効率化」ではなく「人」に着目する

Web会議システムが提供するAI機能の多くは、議事録の要約やタスク整理など、会議の内容を対象としています。会議の効率を上げてくれる一方で、参加した一人ひとりに何かを返してくれるものではありません。

発揮スキル推定機能が向き合っているのは「人」のほうです。議論のなかで各人が発揮したスキルを可視化し、参加者ご本人へのフィードバックにつなげる。目立たなくても質的に貢献していた方の働きに、スポットライトを当てる。そこに、この機能の特長があります。

この話、もう少し深く聞いてみたい方へ

ここまで読んでいただいた方のなかには、「実際の画面はどうなっているのだろう」「自社の評価基準でも使えるのだろうか」「うちの研修規模で現実的なのか、もう少し詳しく知りたい」と感じてくださった方もいらっしゃるかもしれません。

<評価・フィードバックの自動化をテーマにした無料オンラインセミナーを開催中>

ハイラブルでは、発揮スキル推定機能をテーマにした無料オンラインセミナーを開催しています。実際の評価画面のデモと導入事例を交えながら、30分で仕組みと活用法をご紹介。ご都合の合う日程からお申し込みいただけます。

セミナー詳細
「負担のかかる評価・フィードバックを自動化!発話×AIでスキルを5段階評価する方法」

  • ● 評価・フィードバックの「手間」や「属人化」を解消する、AIによる自動スコアリングの仕組み
  • ● 「言いにくい指摘」を後押しする、発言引用つきスコア解説の仕組み
  • ● 実際の評価画面のデモ(社会人基礎力12要素・5段階評価)
  • ● 企業導入事例(株式会社リバネスキャピタル、建設コンサルタント会社)

対象:評価・フィードバックの作成に時間がかかり負担に感じている人事・研修担当者やマネージャー、フィードバックが属人化していてAIで仕組み化・自動化したいと考えている方、部下やメンバーへの厳しい指摘に心理的な負担を感じる方

参加費:無料 / 形式:オンライン開催(30分)

8月21日(金)14:00〜14:30  セミナー詳細・お申し込み 

8月27日(木)11:00〜11:30  セミナー詳細・お申し込み 

※各回とも同じ内容です。

評価は「記憶」ではなく「記録」から変わります。
まずは、自分たちの議論に何が残っているのかを「見てみる」ことから、試してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いたメンバー

中村(み)

健康のために、朝ご飯を食べるようになりました。朝からしっかり食べると、1日を元気に過ごせる気がします。最近は、トマトにライム塩をかけて食べるのがお気に入りです。

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