語源でわかる frog と toad の違い|学名の Rana・Bufo の語源は?

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要約

frog の語源は「跳ねるもの(hopper)」とされ、古英語では frogga・frosc・forsc・frox など複数の書き方がありました。学名のほうはラテン語が基礎で、属ごとに由来が異なります。

  • Rana(アカガエル属)/ラテン語でカエルを指す語。鳴き声を真似た擬音語「ra(ラー)」が起源とされています。
  • Bufo(ヒキガエル属)/語源ははっきりせず、「小さくて這う動物」全般を指していたと考えられています。ヒキガエルは鳴かないため、声ではなく見た目から名づけられた可能性があります。

そもそも学名は、地域ごとに呼び名が違って話が通じない不便を解消するため、18世紀にリンネが整えた仕組みです。

はじめに

前回は、カエルのことは英語で frog または toad という話をしました(前回のリンク)。 そこで今回はもう一歩踏み込んで、frog の語源はなんなのか?ということを考えます。

frog の語源は?

語源辞典などに当たると、実は割と簡単に見つかります。 frog は、おそらく「跳ねるもの(hopper / ホップするもの)」という語を表すと考えられているようです(文献は、たとえば オンライン語源サイトがあります)。 昔の英語では、 frog は frogga / frosc / forsc / frox のように様々な表記がされていたようですが、全体的に似ていますね。

跳ぶカエル

ここで面白いのは、カエルには鳴き声や色、姿などさまざまな特徴があるのに、なかでも「跳ねる」という動きに着目した名前が付けられたということです。よっぽど気になったのでしょうか。

そしては、どうやら他の側面が気になった人もいるようで、そんな名前も残っているのです。それは、学名です。

学名ってなに?

ここで学名について説明をしておきます。 学名とは、研究者の間で使われる生物の名前の「正式な名前」のことです。 たとえば、私が研究していたニホンアマガエルの学名は Hyla japonica (当時) でした。ちなみに、英語名は Japanese tree frog です。

なぜわざわざこんな名前を使うのかというと、土地や国によって呼び方がかわるからです。

たとえば日本では、「ハヤ」という川魚は、土地によって大きく違います。 静岡県中部では、「ハヤ」といえば「オイカワ」のことで、 関東では、「ハヤ」といえば「ウグイ」のことで、静岡県中部の「ハヤ」は「ヤマべ」と呼ばれているようです。 さらに、東北・北海道地方では「ヤマべ」は「ヤマメ」のことを指すようです。(くわしくはこちら)。

もうわけがわかりませんね。

対応関係

特に研究は世界中で行われるので、地域ごとに名前が違ってしまっていては、ある発見が実際はどの生物のことなのかが全くわからなくなります。 そこで、共通の名前をつけよう、というアイデアが学名です。

この学名はラテン語が由来です。学名という仕組みは、18世紀にスウェーデンの生物学者リンネによって作られました。この当時のヨーロッパの学者はラテン語が共通言語だったのです。

学名は、基本的には2単語でできていて、1単語目は苗字のように、同じ種は似た生き物であることがわかるようになっています。たとえば、こんな感じです。

  • ヨーロッパヒキガエルは Bufo bufo
  • ニホンヒキガエルは Bufo japonicus

ちなみに、この学名は時々変わります。研究が進むにつれて、実は違うグループの生き物だということがわかることがあるからです。たとえば、私が研究していた Hyla japonica は最近の研究で Dryophytes japonicus という学名に変わりました。 ハイラブルの社名の由来は Hyla なので、もし今創業していいたら社名も変わっていたかもしれません。

ニホンアカガエル (Rana japonica) の学名の語源

ニホンアカガエルというカエルはみたことがあるでしょうか。 こんな姿のカエルです。水田や湿地でみることができます。このカエルの学名が Rana japonica といいます。この “Rana” のグループ、アカガエルのグループを表す名前なのですが、Rana の語源がここでの話題です。

ニホンアカガエル

Rana は、もとはラテン語でカエルを表す言葉で、しかもカエルの鳴き声を真似た擬音語「ra(ラー)」が元になっているのです[1]。

そのため、Rana はカエルの鳴くという側面に着目した名前の付け方になっているというわけです。

このRanaの歴史は古く、学名の仕組みを作ったリンネは全てのカエルを Rana に分類しました。英語で分られていた frog も toad も同じRanaに入れられていたのです。なお、10年ほど後に、ヒキガエルは別のグループに入れられました[2]。それが Bufo です。

ヒキガエルグループの学名 (Bufo) の起源

ヒキガエルのグループは Bufo という名前が付けられています。たとえばニホンヒキガエルの学名は Bufo japonicus だったりします。この Bufo はどういう語源なのでしょうか。

ニホンヒキガエル

こちらの方は、残念ながらはっきりしないのです。 たとえば、先ほど確認したラテン語の語源辞典[1]によると、Bufo もともと小さくて這う動物をさしたらしく、カエルや、ネズミ、穀物を食い荒らすハムスターをさしているという文献もあるようなのです。 どちらかというと、カエルというより体つきが小さくて這うもの全般を指していたようです。 この状況は英語の方のヒキガエル toad でも同じで、やはりはっきりせず、語源が孤立した言葉なのです。

ただ、ここから考えると、少なくとも鳴き声ではなさそうです。

実際、ヒキガエルはあまり鳴かないことが知られているので、人類が彼らと出会うのは視覚であり、聴覚ではなかったことが原因なのかもしれません。

まとめ

今回は、カエルやヒキガエルを表す英語の frog や toad、そしてそれらの学名である RanaやBufoについて、その語源を調べてみました。

その結果、鳴くカエルはその声から、あまり鳴かないカエルはその姿が語源になっているような印象をうけましたね。 私たちが見かけるカエルの生態と語源に関係があるというのはとても面白いです。

もちろん、これらの語源の研究はさらに深く様々な国や時代の文献や記録を調べる必要があります。 気になった方はぜひ調べてみて、私に教えてください。

参考文献

[1] M de Vaan, “Etymological dictionary of Latin and the other Italic Languages”, Brill, 2008.
[2] J. N. Laurenti “Specimen medicum, exhibens synopsin reptilium”, 1768.

#カエル #生物多様性 #ハイラブル #KoeTurri


この記事を書いたメンバー

水本武志

このシリーズの筆者でハイラブル株式会社の代表取締役CEOを務めている。 カエルの合唱の研究で博士号を取得し、現在も生物の声に関する研究や製品開発を行っている (私のカエル研究について詳しくは こちらの記事)。 よりカエル博士になるためには、カエルと文化にまつわることも知っておく必要があるだろうと思いカエルにまつわる話を調べて共有していくことにした。

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